うつ

心よりも体の問題が大きい

多くの日本人が悩まされているのがうつ病です。
勤勉に働く日本人は我慢に我慢を重ねながら生活しているため、徐々にストレスが溜まっていきます。
心に大きな不安を感じて常に気持ちが落ち込み塞ぎがちな生活になったり、いつもイライラして落ち着かなくなったりする症状が現れます。
うつ病は主に心の病気と認識されており、周囲の人にはなかなか理解されにくいものですが、更に厄介なのが仮面うつ病と呼ばれる症状です。

仮面うつ病とは、うつ病の典型的な症状である心の症状が現れずに、頭痛や不眠、微熱などの体の問題が生じる病気です。
心の症状が確認できないため、仮面うつ病ではなく他の病気が原因であると疑われる可能性が高く、本当の原因がはっきりわからないと診断される場合が多いです。
医師の見解によっては仮面うつ病を疑ってくれる場合もありますが、きちんと理解してくれない医師の場合は仮面うつ病を全く疑わずに体の症状に対して対処療法だけ実践しようとします。
患者さんにとっては自分自身でも思い当たる原因がわからないため、原因不明の症状にいつまでも悩まされることになります。

参考:仮面うつ病

仮面うつ病の注意点

体に何らかの症状が出ているのにも関わらず、原因がわからない場合は仮面うつ病である可能性が高いと考えられます。
仮面うつ病に関して理解がある医師ならすぐに疑ってくれる可能性もありますが、一般的には発見が遅れやすいと言われています。

実際にこのような事例もあります。
慢性的に頭痛に悩んでいた方が、真っ先に内科を受診しました。
内科で調べても原因がよくわからないので鎮痛剤だけ処方され、しばらく様子をみましょうと帰されてしまいました。
しばらく経っても症状が改善されないので、ひょっとしたら脳に問題があるのかもしれないと違う病院で脳神経外科を受診しました。
脳に何らかの障害が生じている可能性も指摘され、CTやMRIで検査を実施しても何の異常も見られないため、ここでも対処療法だけ行われました。
それでも症状が収まらず色々調べた結果、自分は仮面うつ病なのかもしれないと初めて知り、精神科を受診したところようやく仮面うつ病と診断されて適切な治療を受けることができたという例もあります。

このように発見が遅れるほど辛い思いをしながら過ごさなければならず、患者さんの心身に大きな負担を与える可能性が高くなります。
仕事や子育てなどで忙しい毎日を過ごしている年代の方は仮面うつ病になりやすいと言われていますので、心当たりがある方はできるだけ早めにお近くの医療機関で専門医にご相談ください。
決してストレスが原因で起こるうつ病や仮面うつ病は恥ずかしい病気ではありません。
誰でも罹る可能性がある病気なので、気がついた時にすぐ受診しましょう。