うつ病の問題

ここ数年内、企業で働く人の中に「うつ病」を患う人が大変増えてきました。
うつ病とは、一般的に真面目で几帳面な性格の人がなりやすい精神的な不調症状で、仕事だけでなく日常的なことの全てに対してやる気がなくなり、全身に倦怠感を覚えてしまい生活に支障をきたすようになってしまう症状のことです。
もともと、企業内によるうつ症状が問題とされてきた背景には、不景気による人員削減による一人ひとりへの仕事量の増加や、管理職への責任負担の増加、さらには失敗は許されないという厳しい状況の連続による精神的プレッシャーがあるものと言われてきました。
そのため、企業においてうつ症状で休職や退職をしてしまう人の特徴として、真面目すぎたり几帳面であったり、完璧主義的な傾向があるということが挙げられていました。

新型うつ病とは

ところが、ここ最近になって急に数を増やしてきている新しいタイプのうつ症状もあります。
それが「新型うつ病」と呼ばれる若者を中心として症状です。
新型うつ病と呼ばれる症状の場合、朝起きて仕事に行こうとすると強い倦怠感や吐き気におそわれるため、無断欠勤をしたり仕事中に上の空になったりしてしまいます。
ところが新型うつ病の場合には、仕事をしようとするとうつ病症状は発生するものの、ゲームをしたり旅行をしたりといったふうに仕事以外のことに関してはむしろ精力的とも言えるくらいであることが特徴的な症状となります。
そのため、「うつ病」を理由に休職をしたものの、自宅療養中には遊びまわっていたりするので、傍目からはまるで怠けるための口実として病気を使っているのではないかと思えてしまうこともあります。

うつ病がこれほど広く世間的に知られるようになってもまだ十分に理解をされているとはいいがたいのが、このように同じ症状であってもかなり症状が大きく違っているためです。
全くメンタルヘルスに理解のない古いタイプの仕事人が上司となってしまった場合などには、本当に真面目すぎるためにうつ病になっている人のことを「怠け者」「ダメ人間」といったレッテル貼りをしてしまい、改善もなにも望めない状態になってしまっていることもあります。
一方で、新型うつ病に関しては本人にも確かに責任はあるものの、それをお互いに「会社が悪い」「個人が悪い」と言い合うだけで終わってしまうこともあり、同じく解決が難しくなってしまっていることもあります。
メンタルヘルスケアにおいて何よりも大切なのは、その人個人の性質とともに、病気そのものへの理解です。