メンタルヘルスケアへの注目

少し以前までは、生活習慣病やそのもととなる体の症状(メタボリックシンドロームなど)が健康の大敵と思われてきました。
ですがここ数年のうち急激に体の健康状態には心の状態が大きく関係していることが社会的に認知されるようになってきています。
そこで注目をされるようになってきたのが「メンタルヘルスケア」という言葉です。
「メンタルヘルスケア」という言葉自体はおそらく多くの人が耳にしたことのあるものではないかと思います。ですが、具体的にどういう状況のことを指しているかというと、英語からきた言葉であることもあり、あまりよく知られてはいません。
メンタルヘルスケアとは、簡単に言えば「心の健康管理」のことを指しています。

数年前まで重要視されてきた健康対策と言えば、「からだ」の部分に関することがほとんどでした。
具体的には「喫煙習慣」「睡眠不足」「運動不足」「過度な飲酒」「肥満」といった悪習慣や生活バランスの崩れが、積もり積もって脳梗塞や動脈硬化、あるいはガンといった重大な疾病を呼び起こすものとされてきたのです。
もちろん、そのような体内での環境が病気につながるということは間違いではありません。
ですがそのような体内環境を整えるだけで人が「健康」と呼べる状態になれるかというと必ずしもそうではないようです。

メンタルヘルスケアで重要なこと

メンタルヘルスケアで最も重視されているのが、心の病気である「うつ」の症状を防ぐということです。
現在過酷な職場環境におかれることで「うつ」を発症する人が急増してきており、社会問題と読んでもよいほどとなってしまっています。
また、交通事故の死亡者数の約4倍とも言われている自殺者の増加も問題となっており、メンタルヘルスケアによる心のケアが生活習慣病と同じくらいかそれ以上に大切なことであることがわかります。

こころの病への対応が難しい理由は、見た目にはその人が病気を患っているかどうかがわかりにくいということです。
タバコを長年吸い続けても病状を発する人とそうでない人がいるように、過酷な職場にいてもこころの病を発症してしまう人とそうでない人がいます。
ですがいつもと様子が違う落ち込み方をしている人などを見ても「疲れているんだ」「根性が足りないんだ」という感覚だけで片付けられ、深刻な病状が見過ごされてしまうというケースも多く見られます。
メンタルヘルスケアとは、そのような誤解を解き深刻な心の病を初期段階でなくすための大切なケアの方法の一つなのです。