ネガティブ

周囲の人の感情に引きずられる

心の健康を考えるときにぜひ知っておいてもらいたいのが
「人は周囲にいる人の感情に引きずられやすい」ということです。
これは単に迷信のように言われていることではなく、
脳科学の分野できちんと研究されていることです。

わかりやすい例をあげれば、日常生活をしていて自分のすぐ近くの人が眠そうにあくびをしている様子を見たら、
自分もついあくびが出てしまったという経験をしたことはないでしょうか。
また、自宅で一人で音楽を聴いていたときにはそれほどでもなかった曲も、
ライブに行って周囲の人が大騒ぎをしている様子を見ながら急に気持ちが
盛り上がって大好きになったというようなこともあります。

人の心は自分だけの中に閉じこもっているものではなく、周囲の影響をとても受けやすく、
不安定な存在であるのです。

職場における環境

話を職場におけるメンタルヘルスというところに関係させて行けば、
もし今現在の職場につらさや苦しさを感じているなら、
それは同じ職場にいる人の感情や気質に左右されている可能性もあります。
人の感情が他人の感情に引きずられてしまうのは、脳内にある「ミラーニューロン」の働きによります。
ミラーニューロンとは視覚や聴覚などで目の前の人の感情を察知したときに働く組織のことで、
これが働くことによりその人と同じ感情が自分の中にも感じられるようになってしまうのです。

例えば、同じ職場に他人の揚げ足ばかりととって文句を漏らしてばかりいる人はいないでしょうか?
数人単位で動く職場内で、誰か一人が席を立ったら
すぐにその人の悪口を言い出すような人がたくさん集まっていませんか?
自分には関係ないと思ってそれらの会話を無視していても、
毎日のように見聞きをしているうちに同じように
そうした不平不満を持つ人の気分が乗り移ってしまっていることもあります。

それがもともと真面目な性格をしている人ほど強いマイナス作用となって働いてしまうので、
進行により気分が優れなくなってきたり、
うつ症状やその他身体の不調を呼び起こしてしまうようなことにもつながってしまいます。

よく「人は人、自分は自分で無視すればいいんだ。それができないのは割り切りができない証拠」
というようにまるで周囲の人からの感情の転移を自己管理の甘さであるかのように言う人がいますが、
おそらく自分が同じような環境に置かれていないからできる意見なのでしょう。

職場に行くと気分が悪いという人は、
自分の周囲にそうしたネガティブ思考やマイナス思考ばかりしている人がいないかを見回してみてください。